朝、やはり雨が降っている。高い場所にいることも相まって真夏だが快適に寝ることができた。
今日はまず、孫六温泉へ行くことにする。

孫六温泉は、前日入湯した黒湯温泉のすぐ近くで、駐車場は共通だ。乳頭温泉の中でももっとも鄙びた温泉宿のひとつで、ガイドブックなどの事前情報によると、秘湯度がとても高いとのことだ。妻と子供には車内で待機していてもらい、1人で入湯することにする。
駐車場から、昨日下りた黒湯温泉側とは別の道を5分ほど下りていくと橋があり、砂防ダムを横目にしながら橋を渡ると、その対岸が孫六温泉だ。
周りは山々に囲まれ、建物はこの孫六温泉以外のものは何もない。そして、孫六温泉の建物はすべて木造。ひなびたという表現よりも、質素・簡素、あるいは言葉は悪いかもしれないが、粗末という表現が近いかもしれない。
いかにも秘湯という受付で料金を支払い、風呂へ行く。まずは男女別の内湯「唐子の湯」へ。農家の小屋のようなドアを開くと、そこは用具置き場のような脱衣所。入るのが躊躇われたので、石の湯という混浴の風呂へ。
だが、こちらも農家の小屋のような感じだ。とりあえず、入ることにする。
風呂は、脱衣所と同じ建物なので当たり前だが、とても質素なつくりだ。床はコンクリートっぽく、壁は木のまま。脱衣所が用具置き場なら、ここは土間、あるいは厩といった感じだ。
早速入ろうと思い、かけ湯を試みるが、熱くてとても入れたものではない。かけ湯をできないのはもちろん、手足を入れるのも熱過ぎて躊躇われるほどだ。意を決して、膝まで足を入れてみるが、やはりダメ。ここはあきらめて雨の露天風呂のほうへ行くことにする。
露天風呂は2つある。1つは開放的な川沿いの風呂。もう一方は、内風呂の隣にある。いずれも数人から10人程度が入れる岩組みの湯船だ。幸い、どちらもちょうどよい湯加減だ。まずは、建物近くの露天。ここは内湯の屋根が一部湯船にかかっているので雨をしのげる。朝早いためか、人は誰もいない。
お湯は透明で、さっぱりとした感じだ。すぐ近くの黒湯温泉が白濁したお湯だったのに、とても不思議な感じがする。乳頭温泉は泉質が豊富で、楽しみが多くてとてもよい。
続いて、雨の露天風呂に入る。だが、やはりどしゃ降りはきつい。内湯とは反対側にある、打たせ湯にいったん避難。そして、屋根がある部分で風呂に浸かり、内湯を通って脱衣場へ。
ドアを開けたら、トドのようなおばさんが床に座って体を洗っていたのでびっくりした。
おばさんとは言え、こんな秘湯に入りに来るとは。。と思っていたら、帰り際、若いカップルともすれ違った。
でも、ここは秘湯中の秘湯、あまり女性には勧められない温泉だと思った。